東京ー札幌間 2880円 その1

新設の祝日山の日を翌日に控えた夏の日の朝。
目が覚めたのは6時を少し過ぎた頃…
「……やめようかな…」

 

日本では今回で2度目のヒッチハイクの旅、5月にタイでやったのが一番最近のヒッチハイクだが、日本でやるのは少し別の緊張感がある。
前回の経験から言うと、そもそも日本ではただ立っていてもなかなか車が停まってくれない。その為信号待ちの車や、高速の停車中の車に直接声をかけるのが一番効率が良い(効率が良いというのも穿った言い方だが…)。それでも断られてしまうことが多い。

さてさて、北海道までヒッチハイクをするとは意気込んだものの、前の夜からかなりナーバスになって来た…
「もし辿り着かなかったら…」などと暗いビジョンが頭をよぎる。
辿り着かないなどという事は本来ありえない。何故ならそのうち誰かが絶対に拾ってくれるからだ。ただそれまでにどの位時間がかかるのかは誰にもわからない。

朝になり目が覚め、朝食をとりいよいよ出発。自宅そばには大きな通りがない為、ところどころ立ちながら、近くのICを目指して歩く。
イメージとしてはそこから圏央道に乗り、東北道への連絡道を行き、東北道から青森を目指す。
乗車率約20%の北海道新幹線が今年開通した為、青函トンネルは現在新幹線しか運行出来なくなっている。その為フェリーが北海道へ渡るには最安の手段である。
青森から函館へ行き、残る道は札幌までヒッチハイク
午前9:00過ぎにインター前までやって来た。結局そこまでは徒歩。

そこから炎天下に立ち尽くす事約2時間…

2時間です。

正直そこまで時間がかかるとは想像していなかった。インターの少し手前にファミマとセブンが並列しており、セブンの方がインターよりだった為その前のほどうでヒッチハイク態勢。
なかなか捕まらないので一度インター前まで行ってみたが、信号も車が多く停まるような場所でもなく、停まって貰えるようなスペースもない。

仕方なくセブンの前に戻り、続ける事に。
「頑張れよ!」とか笑顔で手を振ってくれる人はいたりするのだが、なかなか乗せてくれる車は出てこない。
まぁ、人に笑ってもらったりするのは構わないし、後で「ヒッチハイクしてる奴がいたよ」とか、微々たる話のネタになったり、笑ったことによるその人の幸福感が少しでも上がれば幸いである。

一度おっちゃんがやって来て、
「これテレビかなんかの撮影?俺近所だから乗せられないけど」
というのがあった。

テレビね、違います。

心も折れかけたその時。一台の車が!ユニックが載った造園屋さんのトラックだった。
営業して帰りに乗っけてってくれるとの事。埼玉のどこだか忘れてしまったが、多分どこどこに行ったらいいよ、とか教えてくれた。がよくわからなかった上に全て忘れてしまった。

 

 インターから圏央道に乗ったのだが、すぐに渋滞にまきこまれた。
「これじゃダメだぁ。」との事で、すぐに降りる。途中ホワイト餃子をご馳走してもらい、鶴ヶ島インターで次の車を捕まえる事になった。
5分くらいだろうか、信号待ちの車にアタックしたりするも良い感触ではなく、どこでやるのが良いかなと、何となく場所探しをしていると、一台の車がUターンしてやって来た。
なんでも郡山まで行くとの事!

近くに住んでいるご夫婦で、実家の郡山に帰るところ、大学生の息子がいるけど、ヒッチハイクしたいって言ったら止めるかなぁと言っていた。
最初少し混みつつも順調に進み東北道へやって来た!
一度那須のSAで休憩し、その少し後のSAで降ろしてもらった。
あまり停車している車がいない。

もしかしたら長い時間かかるかな?と覚悟しつつも立つと、5分位で一台の車が!
今度は営業帰りの男性で、明日から連休だし時間あるからとの事で乗せてくれた。ありがとうございます!
北海道へ行く旨を伝えたら、余市ウイスキー工場がオススメとの事。アップルウイスキーってのが美味かったと話していた(後に分かったがアップルウイスキーではなく、アップルワインという商品であった。)。

国見のSAで降ろしてもらい、立つこと10分。親切な人が多いのです。

今度の方は八戸の実家に帰るところらしい。助手席では息子さんがモンハンをやっていた。何かずっと喋っているので、誰に話しかけているのかと思ったら、ネットに接続されて友達と話しながらやっているようだ。昔は友達の家にゲームをしに行ったりとした記憶があるが、今はこうやって集まることもなくゲームをするのかな?
八戸へは八戸道という道路で向かうため東北道から分岐する。なので岩手山SAで降ろしてもらう事になった。

最初のスタート地点での苦戦を思うと、信じられないくらいに順調にやってきた。岩手山での時刻は午後7時半ごろ。再び食事をご馳走していただき、腹ごしらえを済ませてから継続。
すると!
なんとヒッチハイクをしている白いTシャツの二人組が!

話しかけると東京の大学生で同じく北海道へ向かっているところらしい。今日で2日目って話だから、やっぱ2人だと厳しいのかな?
彼らが青森に行くと言っていたトラックを教えてくれた。生憎2人は無理だとの事だったので、一人なら行けるのではと思い声をかける。
弘前へ行くらしく青森の手前だが連れて行ってもらう事に!本当にトントン拍子で進んでいく。
乗り込んで出発してから話を聞いていると、岩手山から先のPAは夜は店を閉めるところが多いとの事。更に大きなSAは岩手山で最後…

結構ピンチかもしれない。。。

花輪というPAで降ろしてもらう。

幸いにもまだお店は開いていた、が、明らかに小規模のパーキング。
ここから青森まではあと100km少し無い位。
こーなったら攻めまくれ!と全ての車に声をかける。
花輪に停まっていたのは20台位で多分皆青森の方に行く人だろう。
10台目位で声をかけた人が「青森?いいよ乗りな!」と快く乗せてくれた。何でも南三陸で復興関連の建設の仕事をしているという方で、青森の実家に帰るところだった。津軽弁の陽気な人で、状況を説明すると目的地まで送ってくれた。
フェリーはまだ有ったが今青森にいるK子さんの家を訪ねる事にした。コンビニでwifiに繋いで連絡して「青森着きました」と連絡すると「え、もう?」
住所を教えてもらいそこまで送ってもらう。

本当に親切な方多いんです。
という事で午後10時頃青森に到着。1日目は理想的な形でスタートした訳である。