悟ってるどころじゃない

ブッダが悟りを開いたとされる場所、ブッダガヤ。小さな町だが、インド人の観光客がとても多い。
ブッダが悟りを開いた菩提樹はかつて反仏運動が起こった際に焼かれてしまったそうだが、今あるのはスリランカに株分けされた本家の種を埋めたものとの事。


タイ人の僧侶集団がマイクでなにやら喋りながらマハーボディー寺院を周回していた。それを見ていたインド人僧侶達の鳩が豆鉄砲を食らったような表情がとても印象的であった。

仏教の四大聖地であり、とりわけ悟りを開いた場所ともあって、ブッダガヤには各国のお寺がいっぱいある。それぞれの国のお寺のスタイルの違いが同時に比較できてとても面白いし、それぞれ結構兼ねかけてる感がある。

ブラブラ歩いてみただけで、ブータン、日本、タイ、中国、台湾、チベットバングラデシュなどのお寺があった。

チベット寺の入口 綺麗ね
そんな寺の見本市の様なブッダガヤで今旅一番の危機が訪れる。


こちらが現場のお寺

国名や地域名は書いていなかったが、中にはダライ・ラマの写真が飾られ、デザインとしてはチベットブータンのものと酷似している。

訪れてみるとインド人の一行がうろうろしており、その中の一人が声をかけてきた。
どこでもインド人には声をかけられ、ほとんどの場合何かしらの日本語の単語が付随してくる。
9割は無視するのだが、こういうお寺の中などでは客引きでない、ただのインド人観光客から声をかけられることもある。そのためここでは返事をして、ちょっと会話をした。
彼らはアッサムから来たらしい。何故かセルフィーを求められ、一緒に撮る。便乗してもう一人のおっさんも撮る。
きっとFBかInstagramに俺の顔が知らないインド人達に晒されるのだろう。

タイやミャンマーでもそうだったが、何か話をすると、スマホの値段や給料は幾らかとかお金の話に発展しやすい。
ここでと給料を聞かれたが、教えない。

そんな彼らも退き、一人で寺の背後に回った時に事件は起こった。


犬のキャンキャンという鳴き声が聞こえたかと思うと、今度は違った犬のワンワン。
はじめに姿を現したのはマルチーズの様な小型犬。
なんだ可愛いじゃないかと思った次の瞬間!後ろから大きめの犬が飛び出してきた。しかも白と黒の二匹…
ただ威嚇するというよりはすでに舌を出し、駆け出している。これはちょっとやばい…

「話せば分かる!!…」

訳もなく、ガチで逃げる私。
背を向けたら噛まれると思い、犬の方を見ながら後ろ走りをするが、当然追いつかれてしまう。
何を思ったのか私は黒い犬の顔に飛び蹴りを食らわした。イメージとしては
「キャウウン…」
的なやられた感のある声を出し、残りの二頭(白いのと最初に出てきた小型犬)
も一緒に引き下がるかと思ったのだが、あまり効かなかった様で引き下がらない。
飛び蹴りを繰り出しそのまま後ろ向きに走ったのだが、バランスを崩しなんと尻餅をついてしまった。
その瞬間真っ先に頭に浮かんだのは、猪木vsモハメドアリの猪木のあの姿勢。こうなったらアリでさえ攻略できなかったあの防御で戦うしかない!と思った瞬間、後ろの方で人の叫び声が聞こえた。
すると犬はピタリと止まり後ろを振り返る。

一人のインド人のおっさんである。もはやキャプテンインディアである。

そのまま立ち上がり、『やれやれ』的な表情を浮かべながらその場を私は去ったのでした。

結構怖かった…

因みに私は猫派です。